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外国籍エンジニアのSES事業の可能性と課題

2024年09月26日 公開

執筆・監修:村元康太郎
JOBs Japan株式会社 代表。大手ソフトウェア開発企業の営業・マーケティング部門にて4年間従事した後、日本語オンラインスクールやIT JOBs in Japanを創業。
1000人以上の外国人に対して日本語学習サポートや、世界15カ国出身・100人以上のIT・機械・電気エンジニアの転職支援など豊富な実績を持つ。

JOBs Japan代表の村元です。外国籍エンジニアを活用したSES事業の立ち上げや拡大を考えている事業者も増えてきています。今回は、外国籍エンジニアのSES事業の可能性、課題について整理してみました。

サマリー

1.経緯、背景について

日本人エンジニアのスキル不足や人材不足による外国籍エンジニアを活用したSES事業を発足

2.採用におけるニーズ・課題感について

待機が発生するリスクがあり、その際のエンジニアへのコストを考えると、年収およびエージェントフィーにコストをかけることが難しい。とはいえ、自前で海外から人材を調達するとしても良い人材に出会えるか確証がない。

3.採用人材のペルソナ(採用して行きたい人材) 技術スキルや言語、経験年数、国籍、想定年収について

・国籍は問わず

・経験年数も日本企業で1年程度の経験があれば良い

・想定年収は300万円~400万円ほどで押さえたい

・微経験エンジニアについては、開発ではない案件(テスターや翻訳等)に入っていただくこともあらかじめ了承してほしい

4.その他 組織的な課題など 給与制度策定とか 案件確保とか

・待機中のエンジニアコストと収益の採算が取れるか

1. 経緯、背景について

日本のIT業界は、技術の進化とともに需要が急速に高まる一方で、国内エンジニアの不足が深刻化しています。特に、先進的な技術や専門性を持った人材が不足していることは、多くの企業にとって課題となっています。これに対して、SES(システムエンジニアリングサービス)事業を活用する動きが注目されています。SES事業は、他社からエンジニアを派遣してもらい、特定のプロジェクトや技術における不足を補う手法であり、外国籍エンジニアの活用が重要な一手段として浮上しています。

外国籍エンジニアの採用は、日本人エンジニアだけでは満たすことが難しいスキルセットや新しい視点をもたらす一方で、文化や言語の違いに対処する必要があり、適切なマネジメントが求められます。また、日本の労働市場においては、国際的な競争も激化しており、優秀な人材を確保するためには、採用戦略を柔軟にすることが求められています。

2. 採用におけるニーズ・課題感について

外国籍エンジニアの採用を検討する企業にとっての一つの大きな課題は、待機期間中のエンジニアにかかるコストです。SES事業では、エンジニアが常に案件にアサインされているわけではなく、待機期間が発生することがあります。この間もエンジニアの給与は発生するため、案件が見つからない場合、企業にとって負担となることが少なくありません。

さらに、外国籍エンジニアの年収やエージェントフィーを考慮した場合、コストを抑えることが重要です。多くの企業では、優秀な人材を確保したいと考えつつも、コスト面での制約があるため、年収に大きな投資をするのが難しい現状があります。特に、中小企業にとっては、このバランスをどう取るかが大きな課題となっています。

また、海外から人材を直接採用することを検討する場合、良い人材と出会えるかどうかの不確実性も大きなリスクです。言語や文化の壁もあるため、直接的な採用よりも、信頼できるエージェントを通じて人材を紹介してもらう方が、より効果的でリスクが少ないと考えられます。

3. 採用人材のペルソナ(採用していきたい人材)

外国籍エンジニアの採用において、具体的にどのような人材を求めているのかを明確にすることが重要です。技術スキル、言語能力、経験年数、国籍など、採用人材のペルソナを設定することで、企業のニーズに合った人材をより的確に見つけることが可能となります。

まず、国籍に関しては、特に制限は設けず、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用対象とすることが望まれます。国籍にこだわらず、スキルや経験が重要視されるため、幅広い選択肢を持つことが有効です。

次に、経験年数については、日本企業での1年程度の経験があれば十分であると考えられます。これは、日本の労働文化やビジネス習慣にある程度馴染んでいることが望ましいという理由からです。実際のプロジェクトでの技術的なスキルはもちろん必要ですが、異文化間のコミュニケーションやチームワークにも対応できることが求められます。

想定される年収は300万円から400万円ほどで、特にコスト面を重視する中小企業にとっては、これが理想的なラインとされています。この範囲内で、技術スキルや経験年数に応じた報酬設定を行うことで、企業のコスト負担を軽減しつつ、優秀な人材を確保することができます。

さらに、微経験エンジニアに対しては、開発業務ではなく、テスターや通訳といった補助的な業務に携わってもらうことも考慮する必要があります。これにより、エンジニア自身のスキルアップを図ると同時に、企業の即戦力として貢献してもらうことが可能です。

4. その他の課題:組織的な課題と案件確保について

外国籍エンジニアの採用において、企業側が直面するもう一つの課題は、待機中のエンジニアコストと収益のバランスです。エンジニアが案件に従事している間は、企業として収益を上げることができますが、待機期間中はコストがかかるだけで収益を生み出すことができません。そのため、待機期間をできるだけ短くし、常に案件にアサインできるようにするための案件確保が重要となります。

また、給与制度の策定も重要です。特に外国籍エンジニアの場合、国内エンジニアと異なる要素が絡むことが多く、適切な給与体系を整えることが不可欠です。例えば、ビザの取得に伴う手続き費用や、引越し・住居のサポートなど、通常の雇用にはないコストが発生することがあるため、これらを考慮した給与体系や福利厚生の整備が求められます。

最後に、外国籍エンジニアが組織に定着し、長期的に活躍できる環境を整えるためには、社内の文化やコミュニケーションの改善も欠かせません。多文化共生の意識を持ち、柔軟な働き方やサポート体制を構築することで、外国籍エンジニアの生産性を最大限に引き出すことが可能となります。

まとめ

外国籍エンジニアの採用は、日本のIT企業にとって、スキル不足や人材不足を解消するための有力な選択肢です。しかし、待機中のコストや採用の不確実性、文化的な課題など、企業が直面するハードルも少なくありません。適切な人材のペルソナを設定し、柔軟な採用・給与制度を整えることで、企業はより効率的に外国籍エンジニアを活用し、事業の成長につなげることができるでしょう。

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