IT JOBs in Japan » 代表者コラム » 外国人エンジニアのビザ申請フロー|パターン別に解説
外国人エンジニアのビザ申請フロー|パターン別に解説
2024年05月04日 公開
外国人エンジニアを採用する際に忘れてはいけないのが「ビザの申請」です。
ビザには様々な種類がありますが、基本的に外国人エンジニアの場合は「技術・人文知識・国際業務」とう種別のビザを申請します。
しかし、どのようなフローで申請を行っていけばよいのでしょうか。
そこで、この記事では外国人エンジニアに特化した人材紹介サービス"IT JOBs in Japan"を展開する弊社が、外国人エンジニア採用時のビザ申請について以下のポイントで解説していきます。
- 日本でエンジニアとして働くのに必要なビザ
- 外国人社員側に必要な条件3パターン
- 【パターン別に解説】エンジニアビザの取得フロー
- 海外在住のエンジニアを日本へ受け入れる場合
- 既に日本にいてビザを切り替える場合
- ビザの更新をする場合
- 申請に必要な書類・確認しておくべきこと
目次
日本でエンジニアとして働くのに必要なビザ
日本でエンジニアとして働くためには、適切な在留資格(ビザ)の取得が必要です。
ただし、ビザの種類は多岐にわたります。
エンジニアとして働く場合、どのようなビザが必要でしょうか?
「技術・人文知識・国際業務」が基本
エンジニアとして最も一般的なビザタイプは「技術・人文知識・国際業務」カテゴリーです。
理学や工学など、『理系の方が行う職務』に就くのであればこのタイプのビザを取得可能です。
たとえばプログラマーやシステムエンジニア、CADなど理系的な専門知識を必要とする分野であれば、「技術・人文知識・国際業務」に当てはまります。
ちなみに「技術・人文知識・国際業務」の「技術」とは、正確には「理学、工学その他の自然科学の分野に関連する技術や知識を要する業務」と定義されています。
なお、「技術・人文知識・国際業務」以外にも、その他エンジニアとして日本で働くために利用できる在留資格は存在します。
- 高度専門職
高度な能力や資質を持つ人材に付与できるビザ。年収や学歴など様々な観点を点数に換算し、一定以上のポイントを持つ人材が「高度」とされます。
- 企業内転勤
海外の本社や支店で「技術・人文知識・国際業務」関連の業務を担当していた外国人社員を、日本の支社や関連会社へ転勤させることができます。
- 特定活動
インターンシップ制度やプロジェクトベースでの短期雇用など、特定の活動を目的として外国人エンジニアを一時的に日本に呼び寄せることができます。 - 身分系在留資格
永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者など。原則としてどのような職種にも就くことが可能です。
ただ、エンジニアとしての在留資格としては「技術・人文知識・国際業務」が最も一般的です。
この記事でも、主にこのカテゴリーのビザの取得方法について詳しく解説していきます。
外国人社員側に必要な条件3パターン
外国人が日本でエンジニアビザを取得するためには、主に以下の3つの条件のうち「どれか」を満たしている必要があります。
1. 従事する職種が一定水準以上の専門技術・知識を必要としているか
第一の条件は、「従事する職種が一定水準以上の専門技術または知識を必要としていること」です。
例えば、大学の機械工学など理系学部で学んだ知識を実務で必要とする場合がこれに該当します。
逆に、求人の際に「未経験可」と記載のあるような業務内容や、特定の学歴や実務経験を持たない日本人従業員が一般的に従事している業務内容は、認められないとされています。
これは、出入国在留管理庁の文書にも記載されています。
2. 10年以上、従事する分野の実務経験がある
または、従事する分野で10年以上の実務経験があることも条件の一つです。
3. 資格を取得している
また、特定の資格を取得していればビザを取得可能です。
特定の資格とは、具体的には以下のような資格となります。
- 情報処理安全確保支援士試験
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ITサービスマネージャ試験
上記のような資格でなくとも、ITや工学など技術職に関連する資格であれば該当します。また、海外の資格であっても、技術系の資格であれば当てはまります。
会社・契約側に必要な条件
外国人エンジニアの採用に際しては、採用される外国人エンジニア側だけでなく、採用する企業側にも必要条件が存在します。
大前提として、会社と外国人エンジニアとの間に適切な「雇用契約」が存在することは必須。
そのうえで、雇用契約に含まれる内容として重要なポイントは以下の3点に集約されます。
1. 給与水準は日本人エンジニアと同等以上か
雇用される外国人エンジニアの給与は、同様の業務を行う日本人エンジニアと「同等以上」である必要があります。これは、公平な待遇を保証し、国内法規に則った適正な雇用環境を確保するためです。
会社内に比較対象となる日本人エンジニアがいない場合、他社の求人情報や業界標準の給与データを参照することが推奨されます。
これらの基準を事前にチェックし、準備することで企業は外国人エンジニアのビザ申請過程をスムーズに進め、適法な雇用契約を締結することが可能になります。
2. 安定して給与を払える企業の状況か
外国人を採用する企業は、安定して給与を支払う経済力を持っている必要があります。
特に、小規模企業や設立間もない企業は、その財務状況が厳密に審査されることが一般的。
これは、外国人労働者が日本で安定した生活を送るための保証として、企業の経済的な健全性を確認するためです。
3. 外国人を雇用する正当性があるか
企業が外国人エンジニアを雇用する「必要性」も重要な審査基準です。
例えば、企業の規模や取引先の数、業務の量などが既存の従業員数で対応可能である場合、新たな外国人の雇用が不必要と見なされる可能性があります。
したがって、企業は外国人を雇用する明確な理由やその正当性を証明する必要があります。
具体的には、業務や社内がどういう状況で、現在どの程度の社員(日本人、外国人)がいて、どのような理由で外国人を雇用するのかを確認・説明できるようにしておきましょう。
なお、詳細については出入国在留管理庁の公式テキストを確認しておくと良いでしょう。
【パターン別に解説】エンジニアビザの取得フロー
海外在住のエンジニアを日本へ受け入れる場合
現在は海外にいるが、採用するのに伴い日本に移住してもらうなど、海外在住のエンジニアを日本へ受け入れる場合は以下のような手順でビザを取得していきます。
申請に必要な期間としては2~3ヶ月を見ておくとよいでしょう。
①雇用契約を締結する
最初に、企業は外国人エンジニアとの間で正式な雇用契約を結び、雇用契約書を発行します。
②在留資格認定証明書を申請する
在留資格認定証明書は、いわば「就労ビザの予約券」として機能します。
この証明書の申請は、外国人本人が海外にいる場合、代理人や雇用先の企業が行い、交付された証明書を本人に郵送します。
通常、この手続きには平均で1ヶ月程度かかりますが、場合によっては2~3ヶ月かかることもあります。
余裕を持って申請しておきましょう。
③ビザを申請する
在留資格認定証明書を受け取った外国人は、自国の在外日本公館(大使館や領事館など)でビザを申請します。
この際、在留資格認定証明書の提出が必要となります。
④日本への入国
ビザが発行されたら、在留資格認定証明書の有効期間内(通常は発行から3ヶ月以内)に日本に入国します。
入国時にはパスポート、ビザ、在留資格認定証明書の提出が必要です。
⑤在留カードの交付
日本への入国が許可されると、在留資格と有効期間が記載された在留カードが交付されます。
この在留カードを受け取った後、ようやく外国人エンジニアは業務を開始することができます。
既に日本にいてビザを切り替える場合
留学生として日本にいたり、既に日本でエンジニア以外の仕事に就いている場合、既にビザを持っているかと思います。
そういった場合は、既に取得しているビザを切り替えることでエンジニアビザを取得することが可能です。
①雇用契約を締結する
ビザを切り替える場合でも、最初に企業と外国人との間で正式な雇用契約を結び、雇用契約書を発行します。
②在留資格変更許可の申請
必要な書類を整えた後、外国人が勤務する予定の企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署で在留資格変更許可の申請を行います。
この申請から許可が下りるまでの期間は通常1〜2ヶ月程度です。
なお前職の在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の場合、エンジニアビザへの変更は必要ありません。更新のみでOKです。
ただし転職後の業務内容が前職の在留資格(技術・人文知識・国際業務)の範囲内であることを確認するため、入国管理局に「就労資格証明書」を申請しておくとよいでしょう。
なお、弊社が展開する外国人ITエンジニアに特化した人材紹介サービスIT JOBs in Japanで実際に紹介した以下のような事例でも、ビザの変更を行いご入社となりました。元々、日本語学校で留学生としての学生ビザから、エンジニアとして就労するにあたっての技術・人文・国際ビザへの在留資格変更をした上での入社の事例となります。
エンジニアビザの更新をする場合
既に日本でビザを取得してエンジニアとして働いており更新する場合などは、以下のような手順で更新を行います。
①転職なし、同じ職種の場合
前回の申請時から転職しておらず職務内容も変わらず、という場合は
・本人や勤務する企業・団体に、税金の滞納や犯罪などの素行不良
・雇用条件が不適正
などの問題がない限り、通常更新申請は問題なくおこなうことができます。
その場合は、外国人本人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局に申請することになりますが、企業の規模によっては税関係の証明書を提出する必要があります。
その場合は、外国人本人が居住地を管轄する地方出入国在留管理官署に、「在留期間更新許可申請書」や「納税証明書」などを提出する必要があります。
②転職あり、同じ職種の場合
「就労資格証明書」を取得している場合は、すでに入管が企業書類のデータを控えているため更新申請時の必要書類が軽減されます。
「就労資格証明書」未取得の場合は、通常の更新申請に必要とされる全ての書類を提出する必要があります。
企業規模により必要書類が異なるため、詳細は出入国在留管理局に確認する必要があります。
なお、「就労資格証明書」を既に取得している場合はスムーズに審査が進みます。
③転職あり、異なる職種の場合
異なる職種に転職し、現行の在留資格で認められていない活動を行う場合は、「在留資格変更許可申請」が必要です。
在留資格変更許可が下りる前に転職を行うと、在留資格外の活動を行っていることになり、問題が生じる可能性があります。
なお、現行の在留資格の範囲内で異なる業界や業務内容に変更する場合でも、その活動が在留資格の範囲内であれば、変更申請は必要ありません。
申請に必要な書類・確認しておくべきこと
ビザ申請時に必要な書類は、どのようなものなのでしょうか?
前提としてケースバイケースとなりますが、これまで弊社が外国人エンジニアの方々のビザ申請のサポートを行ってきたケースでは、基本的には以下のような書類が必要でした。
- 雇用契約書又は雇用条件通知書
- 申請者の履歴書
- 申請者の職務経歴書
- 申請者の卒業証明書
- 御社の登記事項証明書
- 御社の事業内容がわかる資料:勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に載された書類のこと
- 直近年度の決算文書の写し一式
- 直近分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
また、申請の際には以下のようなデータを明確にしておきましょう。
手続きの際に雇用の正当性を証明するために必要に成増。
- 現在の従業員数
- 従業員数のうち、所属している外国人職員数
- 従業員数のうち、所属している技能実習生
- 採用人材の業務内容の詳細
- その人材を雇用する理由について
できるだけ簡潔に説明してきましたが、それでもビザ申請は複雑なもの。
手続きに支障が出るとビザ取得までに時間がかかり「想定していた日付に入社できない」というリスクも有ります。
可能であればビザ申請に詳しい行政書士に依頼するか、そもそも外国人エンジニアを採用する際にビザ申請の無料サポートをしてくれる人材紹介会社に依頼すると良いでしょう。
弊社が展開する外国人ITエンジニアに特化した人材紹介サービスIT JOBs in Japanでも、採用企業にとって必要な人材を確実にご紹介する上で、行政書士と提携しビザ申請を無料サポートさせていただくことが可能です。(通常ビザ申請は、採用企業が行政書士に依頼する場合の相場は10万円程度ですが、当社の場合は、この部分の費用を負担しております。)既に日本企業にてエンジニアとして就労している人材を中途採用するケースでは、必要はありませんが、現在留学生の人材も採用対象として視野に入れていくことにより、母集団形成にも繋がります。
お困りの方はぜひご相談ください。
資料ダウンロード
IT JOB in Japan の人材紹介サービスの内容についてご紹介しております。
これまでの人材のご紹介実績、ご紹介可能なIT人材の登録者データベース(国籍、年齢、スキル、年収)についても掲載しております。