IT JOBs in Japan » 代表者コラム » ベトナム特化のブリッジSEのスキルや給与、採用手法を紹介
ベトナム特化のブリッジSEのスキルや給与、採用手法を紹介
2024年04月23日 公開
ブリッジSE(Bridge SE)とは、オフショア開発において海外の開発企業と日本企業との間で橋渡し役となるシステムエンジニア。
近年人気を集めているベトナムでのオフショア開発の際にも、ベトナム語が話せるブリッジSEはプロジェクトを円滑に進めるために不可欠な存在。
ただ、日本人でベトナム語が話せる人材は多くなく、必然的に日本語が話せるベトナム人エンジニアを採用する必要があります。
しかし、「ブリッジSEとしてはどどのようなスキルや経験があればよいのか」「給与・年収はどの程度が適正なのか」「どのように採用すればよいのか」など様々な採用に関する悩みを持つ人も多いでしょう。
そこで今回は、外国人エンジニアに特化した人材紹介サービス”IT JOBs in Japan”を展開する弊社が持つ独自のノウハウを元に、皆様の疑問を解消していきます。
なお、外国人エンジニアの採用手法については、以下の記事で詳しく解説しています。国籍別の特徴や採用するメリット/デメリット、ビザ申請についても詳しく解説していますので、是非チェックしてみてください。
ベトナム向けブリッジSEに必要なスキル・経験

前提:ブリッジSE経験者の採用はレッドオーシャン
ブリッジSEの経験がある人材は多くの企業にとって理想的ですが、ブリッジSEとしての経験者を求める市場は競争が非常に激しく、採用が困難であるという「レッドオーシャン」の状態です。そのため、ブリッジSEとしての経験は必須ではなく、尚可となっているケースが多いです。
ベトナム人をブリッジSEポジションで採用を検討する場合は、ベトナムサイドおよび日本企業文化への理解が重要であるため、後述しますが、現実的な採用戦略としては、日本企業でのSEとしての就労経験があること、日本語力N2レベル以上の能力を持つ人材を積極的に探すのが良いと思います。またその際には、仕様書等において日本語ーベトナム語の理解も必要になることからも日本語でのドキュメント作成経験があるかどうかは、要チェックとなりますし、面接では、ドキュメントなどを画面シェアして、漢字が問題なく読めるかも念の為確認したほうが良いでしょう。場合によっては、入社前後で必要な研修を通じてさらに現場に応じた日本語力を身に着けてもらうのが確実に採用するための戦略だと思います。
各社の求人を確認すると、具体的には、以下のようなスキル要件となっていることが多いです。
- 要件定義・設計などSEとしての知識と経験
- マネジメントスキル
- ベトナムの文化・商習慣の理解
- ベトナム語スキル
- N2以上の日本語スキル
- 英語スキル:必須ではない
要件定義・設計などSEとしての知識と経験
ブリッジSEとして活躍するためには、システムエンジニア(SE)としての基本的な知識と経験が不可欠です。
具体的には、システム開発の上流工程における経験、特に要件定義や基本設計の遂行能力が求められます。これらの工程を理解し、実際に1人で遂行できるレベルが目指すべきポイントです。
ブリッジSEはプロジェクトにおいて中心的な役割を果たすことが多く、複数人が関与することは少ないため、顧客の要求を理解し、それを開発スタッフへ適切に伝える責任を一人で担う必要があります。
マネジメントスキル

ブリッジSEは開発作業そのものよりも、国内外のエンジニアやプログラマーを統括する業務に重点を置いています。このため、効果的なプロジェクトマネジメント能力、特にチームメンバーの調整と指導が求められます。
事務的なマネジメントだけでなく、コミュニケーションを通じたマネジメントも重要です。
異なる文化や価値観を持つチームメンバーとのコミュニケーションが頻繁に発生するため、異文化間での理解と協調を促進する能力が不可欠となります。
ベトナムの文化・商習慣の理解
ベトナムの文化と商習慣に精通していることは、ブリッジSEとしての効果的な業務遂行に欠かせない要素。
ベトナムの文化を理解することは、プロジェクトを管理し、異文化間のコミュニケーションを円滑に行う上で重要です。
ベトナム人は一般に真面目で勤勉ですが、思ったことを直接的に表現する傾向があるなどの文化の違いも見受けられます。
これは欧米的な文化の影響を受けているためで、日本の間接的なコミュニケーションスタイルとは異なるはずです。
こういった文化的な違いは当然ながらあるため、違いを理解して適切に対応する能力がブリッジSEには必要だと言えるでしょう。
これらの文化的理解は、ベトナムと日本の間で橋渡しをするブリッジSEにとって、仕事を進める上での障壁を低減し、両国間でのスムーズな交流と協力を促進するために不可欠です。
ベトナム語スキル

ベトナム語のスキルは、ブリッジSEにとって非常に重要な能力です。
ベトナムでは英語の普及率が必ずしも高くなく、特に技術関連のポジションでもベトナム語を主に使用する場面が多いです。
ベトナム語が話せることで、技術的な説明やプロジェクトの要件を直接的に伝えることが可能になり、誤解を防ぎながら迅速に情報交換を行うことができます。
実際、多くの企業がベトナム向けのブリッジSEの求人において、ネイティブレベルのベトナム語スキルを必須要件として挙げています。
英語スキルは必ずしも必須ではない
「これからベトナム向けのブリッジSEになろう」と考えている方も、「ベトナムSEを採用したい」と考えている企業様も疑問に思うであろうポイントは、「ベトナム向けブリッジSEには英語力が必要か」ということでしょう。
ベトナム向けのブリッジSEには、必ずしも英語力が必要とは限りません。
ベトナム語ができれば、英語の必要性は薄いと言えるでしょう。
これは、ベトナムでのビジネスにおけるコミュニケーションでは、ベトナム語の使用が一般的であるためです。
そもそも、ベトナム人の英語力はそこまで高くありません。
ベトナムは非英語圏の英語力ランク112カ国中60位、日本は80位に位置づけられていることから、ベトナムの英語能力は世界的に見ると日本同様、高いわけではありません。
このため、ベトナムのオフショア開発チーム内においても、英語を流暢に話すエンジニアは多くない可能性があります。
この背景を踏まえると、ベトナム向けブリッジSEには、プロジェクトの進行や技術的なやり取りをベトナム語で行う能力が求められます。
そのため中小企業の人事担当者がベトナム向けブリッジSEを採用する際には、候補者のベトナム語能力を重視することが望ましいと言えるでしょう。
N2以上の日本語スキル
日本の企業とベトナムの企業をつなぐ以上、日本語力も必須です。
日本人でベトナム語を話せる人が少ない以上、やはりベトナム向けのブリッジSEとしては日本語ができるベトナム人を採用していくべき。実際に、弊社のクライアント様も日本語ができるベトナム人を採用しています。
日本語能力試験(JLPT)のN2レベル以上が求められることが一般的。N2レベルとは日常的な会話はもちろん、ビジネスシーンで広く使われる日本語を理解し適切に使用できるレベルにあたります。
ただし、N2以上の日本語能力を持つとしても、開発の現場で使用される専門用語や業界特有の言葉まで知っているわけではないことが多く、入社後も日本語のキャッチアップ・学習は継続が必要でしょう。
「やはり流暢な方が良い」と理想としてはN1レベルの日本語能力を持つ人材を採用することが望ましいと考える方もいらっしゃるとは思いますが、そのようなレベルの人材は非常に少なく競争が激しいということを十分に認識しておきましょう。
現実的な戦略としては、ベトナムサイドおよび日本企業文化への理解が重要であるため、日本企業でのSEとしての就労経験があること、N2レベル以上の能力を持つ人材を積極的に探し、必要な研修を通じてさらに現場に応じた日本語力を身に着けてもらうのが良いでしょう。
またその際には、日本語でのドキュメント作成経験があるかどうかは、要チェックとなりますし、面接では、ドキュメントなどを画面シェアして、漢字が問題なく読めるかも念の為確認したほうが良いでしょう。
ベトナム向けブリッジSEの給与・年収

ベトナム向けのブリッジSEについて、その給与水準は日本国内での一般的なシステムエンジニア(SE)と比較しても同等かそれ以上であることが考えられます。
レバテックが2023年11月に発表したデータによると、ブリッジSEの年収は一般的に460万円から850万円程度ですが、一般的なSEの平均年収は厚生労働省のデータによれば約640万円です。
これは日本人のデータですが、日本人に限らず、普段彼らとの話を通じて、ベトナム人エンジニア採用の際も、同様の給与水準の印象です。
ブリッジSEは、技術的な専門知識や言語能力、そしてコミュニケーションスキルが求められるため、レンジはあれど、給与水準が高めに設定されるのも納得できるでしょう。
特にベトナムは、ITオフショア開発の注目度が高まっており、日本企業にとって重要な開発拠点の一つです。
ただそもそもブリッジSEの採用市場は非常に競争が激しく、現在各社は給与レンジを探っている最中ではあります。
ベトナムをオフショア開発拠点として、自社開発サービスの一部を開発している上場企業によってはベトナム人ブリッジSEの年収の上限を960万円など1000万円近くまで設定している場合も見受けられます。
これは、高い技術力と言語能力を持った人材を確保するための戦略として、給与面での魅力を強化しているためです。
ベトナム向けブリッジSEは特に貴重な存在であり、460万円から850万円程度という給与レンジに加えて、場合によってはさらに高い給与を提供することで、優秀な人材を引きつけ取り組みをする企業も増加傾向にあります。
なお、ブリッジSEというと外国人エンジニアを採用するケースが非常に多いですが、外国人エンジニアの場合は「日本語レベル」「開発経験」に従って給与レンジが決定していきます。
参考として、弊社がこれまでに約3000名の外国人エンジニアとやり取りして得られたデータを基に分類した、外国人エンジニアの給与の4タイプを以下に示します。
タイプ | 実務経験 | 日本語レベル | 日本企業での就労経験 | 採用時オファー年収目安 |
① | 1〜2年 | N3レベル相当(聞き返しはあるが、日本人社員がゆっくり話してあげれば、社内の会話は成立するレベル。) | ×〜△ | 320万円〜380万円 |
② | 2〜4年 | N2〜レベル相当(社内での日本人社員との会話はスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ×〜△ | 380万円~450万円 |
③ | 5〜10年 | N2〜レベル相当(社内での日本人社員との会話はスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ◯ | 450万円~600万円 |
④ | 5〜10年 | N1〜レベル相当(社内・顧客とのやり取りにおいてスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ◯ | 600万円~1200万円 |
日本企業での就労経験のある日本在住のブリッジSEの場合は上記ではタイプ3および4に分類されると考えておきましょう。
ベトナム向けのブリッジSEを獲得する方法

これまで説明したように、ベトナム向けブリッジSEにはベトナム語の語学力が求められます。しかし、一体どのようにしてそのような人材を獲得すればよいのでしょうか?
理想としては「ベトナム語ができる日本人を採用する」かも知れませんが、ベトナム語ができる日本人はほとんどいません。
そのため、ここから紹介するように「日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する」という方向性で進めていくのが現実的です。
日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する
日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する方法は、ベトナム向けブリッジSEを確保する上ではオススメの方法です。
日本ではベトナム語はポピュラーな言語ではないですが、実はベトナムでは日本語は比較的ポピュラーな言語です。
独立行政法人国際交流基金の調査によると、2021年度のベトナム人日本語学習者数は、世界で6番目に多く、東南アジアでは3位となっており、実は日本語を学んでいるベトナム人は多いのです。
この背景を踏まえると、ベトナム語が話せる日本人エンジニアを探すよりも、日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する方が比較的容易に人材を見つけることが可能だと言えます。
ただ、とはいってもネイティブほどまで日本語を流暢に話せるベトナム人は決して多くはないため、採用した後でビジネス日本語教育などを別で実施する必要があるでしょう。
実際、日本企業での就労経験があり日本語力もN2レベルのベトナム人の場合でも、「バージョンアップ」「フレームワーク」などの開発現場で使用する日本語の単語は発音・聞き取りが苦手な傾向があることからも、業務と並行して学習・キャッチアップしてもらうことを認識しておきましょう。
ただ、別で日本語教育を行う必要があると考えても、「ベトナム語ができる日本人エンジニアを採用する」よりは「日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する」方が母数の関係上、現実的な採用戦略です。
そのため、もしベトナム向けブリッジSEを採用する場合には日本語ができるベトナム人エンジニアを採用する方法がオススメです。
求人媒体・求人サイトメディアでの採用チャネルについて
エンジニア採用時にはGreenやDoda、Wantedlyでの募集が一般的になっており、近年のエンジニア売り手市場という背景において、掲載求人数は増加の一方です。
採用競合である大量の求人があるなかで、欲しい人材から自社にエントリーしてもらう確率は相対的に下がります。媒体運営各社も有名企業の求人を広告で売り出しているため、結果的に求職者は、有名企業の求人にアクセスが集中してしまい、圧倒的にネームバリュー、ブランド力のある企業の求人にエントリーが集中してしまうことも要因です。
また、今回のようなブリッジSEかつベトナム人を採用するとなると、ニッチなポジションであることから集客チャネルとしてはフィットしないため、日本で有名な求人媒体は、おそらく効果の見込みが薄いと思います。当社にお問い合わせされる企業様も、Dodaに出しても欲しい人材からの応募がなかなかこない。。というケースが多いことからも母集団形成に課題を持たれているんだろうと推測します。
現実的なベトナム人ブリッジSEの採用戦略として、具体的には、以下のような方法で採用を検討することをご提案させていただきます。
日本語教育プログラムがあるベトナムの大学や専門学校と連携する
現地でのリクルーティングを考えられている方は、ベトナム国内には多数の日本語教育機関が存在し、これらの機関と連携することで、日本語能力を持つ技術者を見つけることができます。
現地でのリクルーティングのメリットは、日本国内のベトナム人SEを中途採用するときと比べ、日本でのファーストキャリアとなるため人件給与コストを抑えられることがポイントです。また現地での直接採用は買い手市場であり母集団形成が日本国内在住者と比べ、しやすいです。
一方でデメリットは、日本企業での就労経験がないことや、就労ビザの申請サポートが必要になることです。そのため、中長期的に、スキル経験・日本語力を育成していく余裕がある体制が社内にある場合は、検討して良い方法かと思います。
人材紹介会社を利用する

外国人に特化した人材紹介サービスを利用することで、求めるスキルを持ったベトナム人エンジニアを効率的に探すことができます。
日本国内在住で、日本語レベルがN2以上であり、日本企業でのSEとしての就労経験を持つ人材を採用したい場合は、人材紹介サービスの活用が最も費用対効果が良いと思います。
人材紹介サービスは、一般的には採用時のオファー年収の35%程度のエージェント手数料が必要になりますので一見すると高く感じてしまいます。
しかし、採用が確実にできるかどうかわからない掲載費がかかる求人媒体・求人サイトへの投資や、採用のために稼働する人事担当の選考にかかる工数・人件費を考えると、ピンポイントで欲しい人材を連れてきてくれ、かつ、採用が決定するまでコストが一切かからない人材紹介サービスを利用した方が、スピード感・コスト面において、総合的にコスパが良いというケースも多くあります。
そのため即戦力外国籍エンジニアを採用されている企業は、他集客チャネルと並行し、人材紹介サービスを使っています。
ただ、人材紹介会社は無数にあるため、その中で、ベトナム人ブリッジSEの紹介実績がある、もしくは、ベトナム人中途エンジニアの紹介実績がある、という部分に強みを持っている会社を選びましょう。
オンラインプラットフォームLinkedInを利用する
LinkedInなどのSNS、プラットフォームを活用することも可能です。
ただ、Linkedin等で、日本語能力を持つベトナム人エンジニアを探す方法も有効ですが、日本語能力が不足している人材も多いため、自社でダイレクトリクルーティングを行う場合は、経験や日本語レベルの見極めに多くのリソース・工数がかかってしまうことは避けられません。
一方で、複数名から成る磐石な中途採用チームが社内にある場合は、Linkedinでの採用ノウハウを社内に蓄積可能であるため、SNSアカウントを育て人材を集客できる状態にしていくための時間はかかりますが、長い目で見ると採用単価を抑えられるので、検討しても良い方法だと思います。
当社JOBs Japan株式会社では、2019年の創業より運営している「日本語オンラインスクール」の2,000名を越える日本語学習者のデータをもとに独自の人材データベースを構築していることもあり、弊社で日本語教育を受けたJLPT N2レベル(ビジネス会話レベル)目安の人材のご紹介が可能です。
ブリッジSEをはじめとした外国籍ITエンジニアの採用に特化した人材紹介を行っており、ベトナム人即戦力エンジニアのご紹介実績もありますので、どのような人材が採用できそうかご覧いただければと思います。
資料ダウンロード

IT JOB in Japan の人材紹介サービスの内容についてご紹介しております。
これまでの人材のご紹介実績、ご紹介可能なIT人材の登録者データベース(国籍、年齢、スキル、年収)についても掲載しております。