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インド人エンジニアの給与相場・人月単価|日本での採用時・オフショア開発では?
2024年04月30日 公開
インド人エンジニアを採用する時やインドをオフショア開発先として選択する時に気になるのが「人月単価」や「インド人エンジニアの給与」です。
本記事では、そのような疑問の答えるべくインド人エンジニアの人月単価・給与について
- 日本で採用する際のインド人エンジニアの給与相場
- インド国内におけるエンジニアの給与
- オフショア開発としてインドに依頼する場合の人月単価
これら3つのケースでそれぞれ解説していきます。
なお、インド人エンジニアの特徴や採用方法については以下の記事でご紹介しています。合わせてチェックしてみてください。
日本企業が採用する場合のインド人エンジニアの給与
日本の企業がインド人エンジニアを採用する際の給与設定には、いくつかの重要な要因が関わっています。
まず、外国人エンジニア、特にインド出身のエンジニアの給与は、そのエンジニアの日本語能力、実務経験の長さ、そして日本企業での就労経験の有無によって大きく異なります。
これらの要因は、エンジニアが職務を遂行する上での能力に直接影響を与えるため、企業にとって年収を決定する際の非常に重要な観点となります。
具体例として弊社がこれまでに約3000名の外国人エンジニアとやり取りして得られたデータを基に分類した、外国人エンジニアの給与の4タイプを挙げます。
タイプ | 実務経験 | 日本語レベル | 日本企業での就労経験 | 採用時オファー年収目安 |
① | 1〜2年 | N3レベル相当(聞き返しはあるが、日本人社員がゆっくり話してあげれば、社内の会話は成立するレベル。) | ×〜△ | 320万円〜380万円 |
② | 2〜4年 | N2〜レベル相当(社内での日本人社員との会話はスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ×〜△ | 380万円~450万円 |
③ | 5〜10年 | N2〜レベル相当(社内での日本人社員との会話はスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ◯ | 450万円~600万円 |
④ | 5〜10年 | N1〜レベル相当(社内・顧客とのやり取りにおいてスムーズ〜問題なくできるレベル。) | ◯ | 600万円~1200万円 |
日本語レベルが年収に大きく影響
日本で働く外国人エンジニアの年収は、その日本語能力によって大きく異なります。
まず、JLPT(日本語能力試験) N3レベルの日本語能力を持つエンジニアは、日常会話は可能ですが、ビジネス会話には不十分であるため、年収は一般的に400万円以下となることが多いです。
このレベルでは、基本的なコミュニケーションはできるものの、専門的な議論や複雑な業務説明が求められる場面での対応が難しいため、給与面でも影響が出てきます。
次に、N2レベルのエンジニアは、もう少し複雑な会話の理解が可能で、日常的なビジネス場面でのコミュニケーションがスムーズに行えるため、年収は一般的に400万円前後となります。
このレベルでは、多くのビジネスシーンに適応できるため、より多くの職種での活躍が期待されることから、給与もそれなりに高くなります。
最上位のN1レベルでは、技術的な議論も自由にこなせるため、社内外でのコミュニケーションが非常に円滑に行われます。
N1レベルに関しては、年収は600万円から1200万円と非常に幅広く設定されており、高度な専門性を活かして、より高い報酬を得るチャンスが広がっています。
このレベルのエンジニアは、企業にとって価値が高く、その能力を生かす多様なプロジェクトに携わることができます。
インド人の日本語力は高くない
インド人エンジニアの日本語能力は、決して高くはありません。
2023年のデータによると、インドでの日本語能力試験の受験者数は約14,000人と、人口に対して比較的少ない数となっています。
これは、ベトナムの約26,000人や韓国の約34,000人と比べても顕著に少ない数字です。
特に、最も高度な日本語能力を示すN1レベルの受験者数はわずか416人と、他の国々と比較しても非常に少ないです。
というのは、インドには他の学びや習得すべき言語が多く存在しており、日本語を学ぶ重要性が相対的に低いという背景があるためです。
一方で、インド人の英語力は比較的高いとされています。
2023年のEF English Proficiency Indexでは、インドは113カ国中60位で「標準的」と位置づけられており、日本の87位「低い」よりも高い評価を受けています。
科学技術振興機構のレポートによると、インドの総人口の約10%にあたる約1億2500万人が英語を話すとされており、これは世界で第2位の規模です。
インドの多様な言語環境の中で英語が準公用語として用いられ、教育やビジネスの場面で広く使用されています。
社内公用語として英語を設定している企業は少ないでしょうが、もし優秀なインド人エンジニアをどうしても採用してみたい、という場合は英語でコミュニケーションできる環境を整えてみるのも1つの手段かと思います。
実務経験の長さも重要な要素
実務経験の長さは、エンジニアの年収に大きく影響する重要な要素です。
経験年数が増えるにつれて、その専門性やスキルの熟練度が高まり、それが給与に直接反映されます。
具体的には、1〜2年の実務経験を持つエンジニアは、基本的な技術力しか持たないため、年収は400万円以下が一般的です。
経験が2〜4年になると、技術的な問題解決能力やプロジェクト遂行能力が向上し、年収も約400万円になることが多いです。
5年以上の実務経験を持つエンジニアは、その専門性と豊富な経験が高く評価され、年収は400万円台から1000万円以上に大きく跳ね上がることがあります。
高度な技術力やプロジェクトリーダーとしての能力が求められるためで、多くの場合、技術面だけでなく、チームマネジメントやクライアントとの交渉など、より広範なスキルが必要とされます。
このように、実務経験の長さはエンジニアのキャリアパスにおいて非常に重要な要素であり、インド人エンジニアを初めとした外国人エンジニアの給与にも大きな影響を与えます。
インド人エンジニアの技術力は高いため給与水準も高い
インド人エンジニアは、世界的に見ても非常に高いITスキルを持っていることで知られています。
2023年の調査によると、インドは約343万人のITエンジニアを擁しており、これは世界で2番目に多い数です。
さらに、その年のITエンジニアの増加数は約91万人で、増加率は36.3%に達し、これは16.2%のアメリカを大きく上回る数字です。
これらの統計からも、インドがIT分野で急速に発展している様子がうかがえます。
このような背景の中、世界中のIT企業が高い技術力を持つインド人エンジニアを積極的に採用しており、それが採用市場における競争を激化させています。
その結果、インド人エンジニアの給与水準も高くなっています。
例えば、インド国内では特にバンガロールを中心にエンジニアの年収が急速に上昇しており、国際的な大企業もインドのトップ学校の卒業生に対して高額のオファーを提出しています。
オラクル社が4000万円、グーグルが3200万円という高額な年収を提示している例もあります。
これらの事例から明らかなように、インド人エンジニアの技術力の高さに伴って高い給与水準がオファー年収として提示されることもしばしばあります。
日本企業での経験有無も影響
本国内での日本企業での就労経験の有無は、外国人エンジニアの年収や採用難易度に大きく影響します。
この点は、採用を考える企業だけでなく、キャリアを構築しようとするエンジニアにとっても重要な要素です。
例えば、母国でエンジニアとして2〜4年の実務経験があるが、日本国内の日本企業での経験がまだない場合、その人物はパターン2に分類されます。
例えば、以前母国でエンジニアとして働いていた経験がある、現在日本語学校に通っている留学生などがあげられるでしょう。
このパターンのエンジニアは、比較的オファーされる年収が低く、400万円前後での採用が可能なケースが多いとされています。
一方で、日本国内の日本企業で豊富な実務経験を持つエンジニアは、より高度な技術レベルや業務遂行能力を有していると見なされます。
このようなエンジニアは上述した表の中ではパターン3〜4に分類され、企業からの採用ニーズが高まるため、オファーされる年収も比較的高くなる傾向にあります。
実務経験5年~・N2以上のエンジニアは採用競争が激しい
特に需要が高いのは、タイプ3、実務経験5〜10年でN2レベル以上の日本語スキルを持つエンジニア。SIer/SES企業からの採用ニーズが非常に強いです。
このタイプのエンジニアのオファー年収は450万円から500万円前半の範囲で内定を承諾するケースが多いです。
一方で、タイプ2、実務経験2〜4年でN2レベルの日本語スキルを持つエンジニアも採用されており、オファー年収400万円程度で即戦力として活躍している企業もあります。
なお、それぞれのタイプ別でご紹介実績もまとめておりますので、「日本人だけではエンジニアの採用が追いつかないから外国人採用を行っていきたい」と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
基本的には前職よりも高い年収でオファーする必要がある
インドにおいては転職時に前職の給与から20~30%のアップが一般的です。
実際、多くのインド人がより高い報酬を求めて転職を積極的に行います。
日本企業がインド人エンジニアの採用を行う際には、候補者が前職よりも高い年収を期待している場合が多いことを念頭に置く必要があります。
特にインドからの候補者に対しては、競争的な給与オファーを用意することが求められることが多いです。
自社が提供できる給与の範囲を明確にし、それが候補者の期待に応えるものであるかどうかを確認していきましょう。
インド人エンジニアの求人例
では、実際に日本企業はどのような条件・年収で求人を行っているのでしょうか?
その疑問に答えるべく、ヒンディー語で公開されている実際の求人データを日本語スキル、実務経験、その他必須条件、歓迎条件、勤務地、想定年収の種別でまとめていきます。
ぜひ採用を行う際の参考にしてみてください。
観点 | 求人情報の内容 |
日本語スキル | 必須条件としてはなし。ただ歓迎条件として日常会話レベルレベルの日本語能力 |
実務経験 | 2年以上のマニュアルQA経験 |
その他必須条件 | 優れたコミュニケーション能力、文書作成スキル、トラブルシューティング能力。SQLの実務経験。分析やトラブルシューティングに使用する能力。 |
歓迎条件 | SeedまたはSeries-Aスタートアップでの経験、アジャイル開発チームでの経験、テストケース管理のためのモダンなツールの使用経験 |
勤務地 | 都内 |
想定年収 | 5,000,000円から8,000,000円 |
観点 | 求人情報の内容 |
日本語スキル | N1レベル |
実務経験 | 人工知能や機械学習の研究経験。C++、Java、Pythonなどを使用して人工知能、検索アルゴリズム、最適化アルゴリズムの実装経験 Gitなどのバージョン管理の基本的な知識と経験。 |
その他必須条件 | 目標を達成するために適切に日本語でコミュニケーションをし、報告を行う能力目標を達成するために忍耐強く取り組む納涼技術情報を収集し続け、学習する好奇心があり、常に技術情報を収集し勉強しようとする姿勢プログラミングやデータ分析を楽しむ能力 |
歓迎条件 | Kaggle、SIGNATEなどのデータ分析コンペティション、AtCoderなどの競技プログラミングコンペティションCodinGameなどのゲームAIコンペティションなどで高得点または優秀な成績を持つ経験 |
勤務地 | 東京都港区 |
想定年収 | 5,500,000円 ~ 11,000,000円。 |
観点 | 求人情報の内容 |
日本語スキル | 特になし |
実務経験 | データエンジニアとしての経験SQLとSpark/Scalaを使用したデータアクセスと処理のアプリケーションの構築経験 |
その他必須条件 | Sparkアプリケーションをゼロから本番レベルで作成できる能力 |
歓迎条件 | 特になし |
勤務地 | リモートワークが可能のため指定なし |
想定年収 | 6,000,000円〜7,000,000円。 |
インド人エンジニアに対しての求人としては、高い技術力を求める傾向があるが日本語力を必須としていない求人も散見されました。
やはり、日本語力まで求めてしまうと当てはまる人材が急激に少なくなり、採用が困難となるためでしょう。
インド国内でのエンジニア給与相場
インド国内のエンジニアの給与相場は非常に幅広く、技術レベルや担当する業務範囲によって大きく異なります。
平均的なエンジニアの年収は約150万円程度です。特に下流工程に携わる基本的な技術レベルのエンジニアは、年収が約120万円から始まることが一般的です。
IT分野のエンジニアは平均で約300万円の年収が見込まれています。特にソフトウェア開発エンジニアは、経験や技術力に応じて年収が300万円から600万円の範囲で変動します。
一方、高い技術力や管理能力を持ち、上流工程やマネジメントを手掛けるエンジニアの場合、年収が1,000万円以上になることも珍しくありません。
特に外資系企業に勤務するシニア開発エンジニアの場合、年収がこの水準に達することが少なくありません。
スキル・専門領域により年収は変化する
上記で示した例は、あくまで平均年収。
エンジニアのスキルや専門領域によって年収は大きく変動します。
以下は、salaryexplorer.comなどインターネット上に公開されている様々な統計データを元に、スキル・専門領域別にインド国内におけるエンジニアの平均年収をまとめたデータになります。
専門領域・職種 | 平均年収 (JPY) | 平均年収 (INR) |
フロントエンド | ¥1,060,117 | ₹557,956 |
バックエンド | ¥991,203 | ₹521,686 |
モバイル開発 (iOS) | ¥1,135,756 | ₹597,766 |
モバイル開発(Android) | ¥1,083,000 | ₹570,000 |
データサイエンス・機械学習 | ¥1,844,982 | ₹971,043 |
このようにしてみると、データサイエンス・機械学習の領域では吐出して給与水準が高いことが分かります。やはり、こういった領域は需要が高く対応できる人材もレアなため、給与が高くなるのでしょう。
インドにおけるオフショア開発の人月単価
インドのオフショア開発の人月単価は、職種によって異なります。
以下に、2023年12月時点でのインドのオフショア開発における人月単価を表にまとめました。これらの数字は、職種ごとに示されています。
職種 | 人月単価(円) |
プログラマー | 508,300 |
シニアエンジニア | 687,500 |
ブリッジエンジニア | 942,900 |
PM(プロジェクトマネージャー) | 1,114,300 |
この表は、インドのオフショア開発における各職種の費用を示しており、プロジェクトの規模や必要なスキルに応じて異なる単価が設定されていることが分かります。
インドのオフショア開発費用は割高な傾向
インドはオフショア開発の先として、他の国々に比べて割高な傾向があります。
これは、インド人エンジニアの高い技術力が世界的に認知されているためで、人月単価が高くなる主要な理由です。
それでも、日本国内のエンジニアと比較するとコストパフォーマンスが良いため、IT人材不足に直面している日本の企業や、品質を維持しつつコストを削減したい企業にとって、インドのIT人材は魅力的な選択肢となっています。
インドを拠点としたオフショア開発は、その技術力の高さと比較的低コストな点が魅力です。
「品質を落とさずにコストも抑えたい」というニーズを持つ企業の中には、インドをオフショア開発先として選ぶところも少なくありません。
他国との人月単価の比較
以下は、オフショア開発.comがリリースした「オフショア開発白書」によるデータをもとに、アジア各国の人月単価をまとめた表になります。
人月単価 (万円) | プログラマー | シニアエンジニア | ブリッジSE | PM |
中国 | 50.01(+20.00%) | 61.79(+18.68%) | 79.29(-6.48%) | 92.14(7.43%) |
ベトナム | 40.22(+26.75%) | 49.13(+23.20%) | 57.73(+12.44%) | 79.38(+37.00%) |
フィリピン | 35.83(-1.15%) | 53.33(+7.46%) | 81.25(+14.32%) | 70.83(+7.60%) |
ミャンマー | 27.47(+12.25%) | 54.16(+42.96%) | 68.33(+40.63%) | 97.50(+55.23%) |
バングラデシュ | 44.13(+48.90%) | 46.13(+16.38%) | 90.96(+30.62%) | 58.63(+27.27%) |
インド | 50.83(+46.41%) | 68.75(+33.34%) | 94.29(+38.72%) | 111.43(+32.81) |
このように他国と比較してみると、インドは中国と並び、比較的人月単価が高いことが分かります。
インドの物価は中国よりも安いという事を考慮すると、インド人エンジニアの技術力が世界から高く評価されているという事情が伺えます。
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